wareki - ruby 和暦ライブラリ
概要
日本の和暦をサポートするライブラリです。 旧暦は445年から、元号は大化から全て処理できます。 元号・暦とも manakai/data-locale のデータを元にしています (暦は日本暦日原典由来)。
機能
- 和暦文字列のパース
- 旧字体、1文字元号のサポート (慶應、萬延、㍻ など)
- 全角数字、漢数字、全角ゼロ、大字のサポート (10月、十月、一〇月、拾月、什月)
- 閏月サポート
- 月の別名のサポート (如月、弥生、師走など)
- 元年、正月、朔日、晦日、廿一日、卅日 などの特殊な表記の日付サポート
- 時刻の漢数字・全角数字表記のサポート (十二時三十四分五十六秒、午後三時半、正午 など)
- Date クラスの拡張
- 標準の strftime に和暦へのフォーマット文字列を追加
- to_wareki_date を追加
- Date::JAPAN (明治改暦日)の追加
- Time / DateTime クラスの拡張
- strftime に時刻の全角・漢数字フォーマット文字列 (%JT 系) を追加
- Time.parse で和暦・漢数字時刻の文字列を解釈 (要
require 'time') - Time#to_wareki_date を追加
インストール
Gemfile に以下のようにするか、
gem 'wareki'
もしくは、直接 gem install して下さい。
gem install wareki
使い方の例
ありそうな例
require 'wareki'
d = Date.parse("平成二七年 08月 22日")
d.strftime("%F") # => "2015-08-22"
d.strftime("%JF") # => "平成二十七年八月二十二日"
d.strftime("%Jf") # => "平成27年8月22日"
パース
旧暦を含むの日本語の日付文字列パースして、組み込み Date オブジェクトに変換できます。この時、慣例的に使われていたい色々な表記も解釈できます。(標準では Date::ITALY な Date オブジェクトに変換しますが、必要であれば第3引数の start に改暦日を渡せます。)
# 和暦のパース (標準 Date インスタンス)
Date.parse("㍻一〇年 肆月 晦日") # => #<Date: 1998-04-30 ...
Date.parse("安政七年 弥生") # => #<Date: 1860-03-22 ...
Date.parse("元仁元年閏七月朔日") # => #<Date: 1224-08-17 ...
Date.parse("萬延三年 5月 廿一日") # => #<Date: 1862-06-18 ...
Date.parse("皇紀二千皕卌年") # => #<Date: 1580-01-17 ...
Date.parse("正嘉元年 うるう3月 12日") # => #<Date: 1257-04-27 ...
# Wareki::Date を直接扱う場合
Date.today.to_wareki_date # => Wareki::Date インスタンス
Wareki::Date.parse("正嘉元年 うるう3月 12日") # => Wareki::Date インスタンス
Wareki::Date.new("明治", 8, 2, 1).to_date # => 標準 Date インスタンス 1875-02-01
時刻のパースとフォーマット
時刻の漢数字・全角数字表記も透過的に扱えます。時刻には暦のようなマッピングは 存在しないため、単純な数字変換として処理されます。
require 'time'
t = Time.parse("平成元年五月四日 午後三時三十四分五十六秒")
# => 1989-05-04 15:34:56
t.strftime("%JF %JTF") # => "平成元年五月四日 十五時三十四分五十六秒"
t.strftime("%JTf") # => "15時34分56秒"
t.strftime("%JTHk時%JTMk分") # => "十五時三十四分"
和暦・旧暦へのフォーマット
日本では明治5年まで、グレゴリオ暦でもユリウス歴でもない旧暦が使われていました。これもフォーマット文字列経由で透過的に扱えます。
Date.today.strftime("%JF") # => "平成二十七年八月二十二日"
Date.civil(1311, 7, 20).strftime("%JF") # => "応長元年閏六月四日"
旧暦の場合の月日 (%Jm, %Jd) と、グレゴリオ暦やユリウス暦での月日 (%m, %d)は違うものを出力します。
d = Date.civil(1860, 4, 7)
dj = d.new_start(Date::JULIAN)
d.strftime # => "1860-04-07" (グレゴリオ暦)
dj.strftime # => "1860-03-26" (ユリウス暦)
d.strftime("%Jf") # => "安政7年3月17日" (日本の旧暦)
d.strftime("皇紀%Ji年%Jm月%Jd日") # => "皇紀2520年3月17日" (日本の旧暦で神武天皇即位紀元年)
Rails I18n から使う場合
strftime が拡張されるので、 config/locale/ja.yml にそのままフォーマット文字列が指定できます。例えば
ja:
date:
formats:
default: "%JF"
の様にすると、 I18n.l (I18n.localize) の出力が標準で和暦日本語になります。 標準は変更せず、特定の箇所で使い分けたい場合は、例えば、
ja:
date:
formats:
ja_kan: "%JF"
の様に別のフォーマットキーを設定して、以下のように呼び出し時に format に指定します。
<%= I18n.l Date.today, format: :ja_kan %>
追加フォーマット文字列一覧
通常の strftime のフォーマット文字列に 加えて、 以下が使用できます。これ以外のフォーマット文字列に関しては、そのまま strftime へ引き渡され、プラットフォーム依存で解決されます。
- %Jf: "%Je%Jg年%Js%Jl月%Jd日" の略 (例: 平成23年3月12日)
- %JF: "%Je%JGK年%JLk%JSk月%JDk日" の略 (例: 平成二十三年三月十二日)
- %Jy: "%Je%Jg" の略 (元号+半角数字年)
- %JY: "%Je%JG" の略 (元号+全角数字年)
- %JYk: "%Je%Gk" の略 (元号+漢数字年)
- %JYK: "%Je%GK" の略 (元号+特殊漢数字年)
- %Je: 元号 (存在しない場合空文字列になります)
- %Jg: 和暦年の半角数字(元号が存在しない場合空文字列)
- %JG: 和暦年の全角数字(元号が存在しない場合空文字列)
- %JGk: 和暦年の漢数字(元号が存在しない場合空文字列)
- %JGK: 和暦年の漢数字の特殊記法 (元) (元号が存在しない場合空文字列)
- %Jo: 旧暦年の半角数字
- %JO: 旧暦年の全角数字
- %JOk: 旧暦年の漢数字
- %Ji: 神武天皇即位紀元(皇紀)年の半角数字
- %JI: 神武天皇即位紀元(皇紀)年の全角数字
- %JIk: 神武天皇即位紀元(皇紀)年の漢数字
- %Jm: "%Js%Jl" の略 (和暦月の半角数字。閏月は後ろに "'" を追加)
- %JM: "%JLk%JS" の略 (和暦月の全角数字。閏月は前に "閏" を追加)
- %JMk: "%JLk%JSk" の略 (和暦月の漢数字。閏月は前に "閏" を追加)
- %Js: 和暦月の半角数字
- %JS: 和暦月の全角数字
- %JSk: 和暦月の漢数字
- %JSK: 和暦月の別名 (睦月、如月、弥生...)
- %Jl: 和暦月が閏月の場合 "'"、そうでなければ空文字列になります。
- %JL: 和暦月が閏月の場合 "’"、そうでなければ空文字列になります。
- %JLk: 和暦月が閏月の場合 "閏"、そうでなければ空文字列になります。
- %Jd: 和暦日の半角数字
- %JD: 和暦日の全角数字
- %JDk: 和暦日の漢数字
- %JDK: 和暦日の漢数字の特殊記法 (朔、晦)
以下の時刻フォーマット文字列は Time / DateTime の strftime でのみ使用できます (Date は時刻情報を持たないため展開されません)。
- %JTf: "%JTH時%JTM分%JTS秒" 相当の半角ゼロ埋め複合表記 (例: 15時04分05秒)
- %JTF: 漢数字の複合表記 (例: 十五時四分五秒)
- %JTH: 時の全角数字
- %JTHk: 時の漢数字
- %JTM: 分の全角数字
- %JTMk: 分の漢数字
- %JTS: 秒の全角数字
- %JTSk: 秒の漢数字
仕様、限界、制限など
- 作者は暦の専門家ではまったくありません。ツッコミお待ちしています。
- 皇紀と旧暦が出力できますが、旧暦445年1月1日(先発グレゴリオ暦で445年1月25日)より前の日付はサポートしていません。扱おうとすると Wareki::UnsupportedDateRange 例外を上げます。
- また Date 型からの変換の場合、 現状「大化」で1年1月1日扱いになる日(ユリウス暦で645年2月2日、先発グレゴリオ暦では645年2月5日)より前の日付はサポートしていません。こちらも Wareki::UnsupportedDateRange 例外がおきます。
- 日本暦日原典の対照表が、どの暦法を元にしているのか分かっていません。単にデータだけを利用しています。
- 内部的には全てユリウス日を経由して変換しています。
- パース時には元号の存在しない年(例: 霊亀百年)を受け入れます。しかし現状、Date に変換した場合この情報は捨てられ、パース時の元号を復元することはできません。(Wareki::Date を直接扱えば可能です)
- 存在しない日付(月・日の範囲超過、存在しない閏月、改暦により存在しない明治5年12月3日〜31日など)は例外(Wareki::InvalidDate, ArgumentError のサブクラス)を上げます。
- 南朝・北朝どちらの元号も解釈できます。Date やユリウス日からの変換では、南北朝期は通常の慣例に従い北朝の元号を優先します(元弘・延元など、北朝側の改元前で北朝に固有の元号がない期間は南朝の元号になります)。
- 元号の開始日より前の日付表記(例: 令和元年1月1日)は受理し、その元号の元年として解釈します。逆変換では実際の元号(平成31年1月1日)になります。
- 10月の別名は「神無月」しかサポートしていません
- 将来の日付に関しては、現在の元号がずっと継続しているとみなします
- 日本でユリウス暦は使われていないので、Date::JAPAN は単にグレゴリオ暦への改暦日の目安、と言うだけです。Date.new で使う意味はほぼありません。
- 時刻の解釈・出力は単純な数字変換のみで、十二時辰などの伝統的時刻制度との対応はありません
- 時刻パース時、「午前」は無変換、「午後」は12時未満の時にのみ+12します (午後十二時 → 12:00)
- 「三時間」「13時代」のような「数字+時」を含む複合語も時刻として解釈されることがあります (このため、従来 Date.parse が数字を日として解釈して成功していた文字列がエラーになる場合があります)
- 範囲外の時刻 (二十五時など) は ASCII 表記 (25:00) と同様に扱われ、Time.parse では通常 ArgumentError になります
- 和暦・漢数字時刻のパース対応は Date.parse / Date._parse / Time.parse のみです。DateTime.parse は Ruby 内部のパーサを直接呼ぶため対象外です
参照元データ
作成には以下のデータを参照しました。
- Wakaba 氏による https://github.com/manakai/data-locale のデータを利用しています
- 旧暦: suikawiki - 旧暦 にある「日本暦日原典」第4版準拠の先発グレゴリオ暦対照表 (kyuureki-map.txt)
- 元号: 同リポジトリの元号定義データ (era-defs.json)
ライセンス
作者
Tatsuki Sugiura sugi@nemui.org